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2004年 10月 07日
清水峠越えツアーを終わって
今回のツアーのレポートをかねた感想文

■土合駅から一ノ倉沢まで

 地下深くにある下りホームから地上の改札までにかなりある。事前にウェッブの検索で知ってはいたが現場で初めて見る階段にビックリ。駅から登山指導センター付近まではこれまた急な登りが続く。しかしこれらの急な登りも長く続くものではないことを知れば、それほど苦になるものと思えない。2度目ならなんて事はないと思っている。一ノ倉の車止めにたどり着く頃にはその絶景が自然と目に飛び込んでくる。スゴイ。


■一ノ倉沢から芝倉沢まで

 車止めより先はクルマが来ないとあってテントが数張り。ジャマだ。といっても他に張るところがなさそうだ。しょうがないか。未舗装のダブルトラックが芝倉沢まで続くことも事前のリサーチで知っていた。途中、新道の分岐があるがコレには目もくれない。やはり旧道の方に惹かれるものがある。

 谷川岳の深く刻まれた沢から見上げる絶壁は、いずれも他に比べようもないほど圧倒される。クライマーなら一ノ倉沢に魅せられるのか。芝倉沢は群馬県の条例での危険区域には含まれないためか、山スキーの対象となっているらしい。芝倉沢を横切る時、ドコからドロップインするのだろうか?雪崩の危険は?といったことが気になった。


■芝倉沢から白樺小屋まで

 芝倉沢から先が本ツアー初日の核心部といえよう。かつての国道は見る影もない。本来ダブルトラックであったらしい幅員は、かろうじてシングルのそれとなっている。歩き始めて直ぐに落石のひどい場所に出会う。また全体に渡渉が多い。ルートは山腹を巻きながらホンの少しずつ高度を上げていく。多くの尾根と谷を横切る。沢が多いのは当然とも言えるが、一つとして涸れ沢がなかったのは、直前の台風による降雨があったこともあるが、谷川山系の水量の豊かさによるものと思いたい。

 芝倉沢から一つ尾根を巻いた頃、樹林の隙間に清水峠が見えた。送電線監視小屋の三角屋根も確認できた。標高差も少ないことから意外と近いのかと勘違いしてしまう。冷静に地図を見れば分かること、ルートの性質上巻きに巻いているので直線距離の2倍はしっかり歩かされること、分かっていてもぬか喜びは禁じ得ない。

 白樺小屋手前で遭遇する武能沢は最大の難関といわれている。この沢の通過には、文献等によれば約5メートル、急斜面あるいは岩場の上り下りを強いられる。しかし通過困難ではあっても不可能ではない。今回は4人のパーティーを組んでいたからバケツリレー方式で各自の荷物を渡すことにした。案外、楽な通過だった。単独でも荷物を数度に分けるか、細引きなどで引き上げれば可能と思う。むしろ気を付けたいのは増水だ。具体的な場所は失念したが、この後出会う沢のいくつかは渡渉ポイント直下が滝状になっているものが少なくない。


■白樺小屋から鉄砲尾根まで

 白樺避難小屋は白樺尾根の稜線上にあるため見晴らしがよい。今回はここで昼食となった。時間的にはやや遅い昼食だが、ここまでのルート上に昼休みに相応しい場所もなく否応なしにここで昼となる。しかし視界を遮る樹木も少なく、周囲の地形を概ね見てとれるこの場所は長めの休憩に都合がよい。

 白樺小屋から直ぐに蓬峠分岐。ここから先は歩く人も少ないのだろう。先頭を行く者がクモの巣をかき分けての前進となる。道も良くない。依然として渡渉が多い。実は今回一番危険を感じた沢にこの辺りで出会っている。ナメ状の滝の上を渡る。足を滑らせれば滑落間違いナシだ。もちろん細心の注意を払っての渡渉となる。ノンキにも続いて渡るパートナーの写真などを撮ってしまったが、本来こんな場面では一言でも注意を促すべきだったろう。それが本当の友情というものであれば、山という場所はあらゆる意味で男っぷりが試されることになる。反省。


■鉄砲尾根から清水峠まで

 鉄砲尾根に着けば再び峠が見えてくる。今度はさらに間近に見えてくるが、今までの経緯からパーティーの誰もがまだまだ時間のかかるものと覚悟を決めた。コレは今となっては滑稽に思える。ここから先は道の状態がまあまあ良くて、大幅に時間短縮が出来た。それでいて初日の全行程がおおよそ6時間。コースタイム通りといったところか。一泊での峠越えとしてはちょうど良いコースと思う。


■清水峠から井坪坂をくだる

 井坪坂については今さらいうこともないだろう。大変良い下山ルートだ。天気さえ良ければ何のことはない。問題はつづら折りで高度を下げてから、何度か現れる渡渉ポイントだ。初日の峠までの渡渉ポイントはすべて水量の小さな沢ばかりだったのに対して、二日目新潟側で出会う沢は割と水量豊富で増水時の渡渉は困難が予想される。というよりかなりの危険を伴う。二日目が雨天であったためいくらか増水していたのだろう。最悪の場合は引き返さざるを得ないケースもあり得る。


■塩沢駅まで

 工事のため本来のルートを迂回させられて、最後に登り返して終わりというのがシックリこなかったが、本来のルートも崩壊が進んだためか、無意味にに河原の岩場を歩かされることが多かった。コレがけっこうウンザリだった。ここで車道に、といってもいわゆる林道なワケだが、出たのも潮時だったということか。

 林道のゲートを過ぎてもひたすら下りが続く。身体が冷え切った頃に駅にたどり着くわけだが、さすがに田舎だ。時間が早かったし、暖かいものを食べようにも店らしきモノは見あたらない。着替えなどしながら待つこと1時間以上。どうにか帰路に就き乗換駅で食事にありつく。


■最後に

 さて、本コースを再び行くことがあるか。自分に問いかけてみる。出来れば単独でのチャレンジを考えている。いつになるかは分からないが、旅人の気分が味わえる数少ないコースだ。一度は単独行を試みたい。また今回、二日目に降雨のため十分に楽しめない部分も残ったが、天気の良い日に再トライするのも悪くないだろう。

 何にせよ、現代の管理され安全の保障された、もはや旅とは言えない単なる移動に過ぎない行為ではなく、それ自体に冒険的な要素がある本来の旅が満喫できたことは他には得難い体験だ。自然はけっして人をあまやかさない。旅人は自ら歩き考え、ときに家族を想い仲間を気遣う。現代文明にドップリ浸かって本当のクソ野郎に成り下がることのないように、ときどき旅人の魂にふれ合わなければならない。

# by w_bunz | 2004-10-07 17:58 | 転遊
2004年 10月 04日
大草原の小さな家
大草原の小さな家_b0012281_19162851.jpg
 大草原の小さな家だ。でも、インガルスさんの家ではない。だからローラもメアリーもいない。あっ、でもお父さんはいた。親切な父さんが水場を探してた私たちに水を分けてくれた。

# by w_bunz | 2004-10-04 19:15 | 与太話
2004年 09月 30日
お役所仕事
 「お役所仕事」という言葉はいつの頃から言われるようになったのであろうか。土光敏夫や猪瀬直樹といった人物が活躍するためにあるような言葉だ。非効率的なことの代名詞として使える、ある意味で風情のある言葉だと思う。(どんな風情だ?)

 人里離れた山の中でもお役所仕事の弊害とも思えることに遭遇する。こんな所でもお役所仕事か。あきれてモノも言えない。山の中、登山道などでは都道府県や市町村当局が設置した「指導標」や「山頂標識」の類をしばしば目にするが、コレがまた何と申して良いのやら。コストの点で非効率的かどうかは知る由もないが、どうも縦割り行政の弊害が出てなくもない。

 山頂やその稜線、尾根といった地形は県境とかの自治体の境界線になっていることが多い。今回縦走した甲武信から雁坂にかけての稜線は埼玉県と山梨県の県境にあたる。そういった場所には双方の自治体の立てた標識が林立してしまう。コレだけでも十分ムダ。無駄な上に自治体ごとに違った地名で標識を立てるのは止めて欲しい。

お役所仕事_b0012281_2225327.jpg


 そうは言っても山のこっち側とあっち側で呼び名が違うこともあるだろう。それは分かるのだが、この写真における埼玉県の態度は理解しがたい。山梨県では「破風山」(写真左)、埼玉県では「破不山」(写真中央)と書くらしい。それはいい。ところが環境庁と埼玉県の連名で立ててある標識(写真右)には「破風山」となっている。県レベルでは山梨に対抗してか違う名前で表記しておきながら、上位の役所である環境庁と連名となると別の名前で表記している。埼玉県当局の見解をお聞きしたいモノである。

 ちなみにこの山梨の山頂標識はお役所が立てたものではなく(お役所の後押しもあったかも知れないが)、山梨日々新聞だかの企画で山梨百名山を制定して立てたものと聞く。その設置に関わったボランティアの人から聞いた話だ。ついでにトリビアを一つ、山梨百名山で唯一山頂標識がない山がある。それは富士山だそうだ。立てようとしたところ、環境庁(当時)からの許可が下りなかったという。

# by w_bunz | 2004-09-30 22:01 | 与太話
2004年 09月 30日
お月さま見えずの甲武信岳レポート2

 雨の日のテント泊は憂鬱だ。狭い部屋に幽閉されている気分だ。だいたい雨音が煩くて眠れない。この日はラジヲだけが気を紛らわせてくれた。私のラジヲが安物だからって分けでもないのだろうが、FMの方が良く聞こえる。聞こえてきたのはボサノヴァアレンジの「フライミートゥーザムーン」。お月見にやってきて雨の中テントに閉じこめられて聞くにはもってこいの一曲だ。

お月さま見えずの甲武信岳レポート2_b0012281_21211977.jpg

 一夜明けても天気は一向に良くならず。それもそのハズ。台風がこちらへ向かって来ているのだから。サッサと撤収して予定のルートの縦走に取りかかる。歩き始めて身体が温まり始めた頃、ふと樹林の隙間から甲武信岳が目に入る。わずかだけれども紅葉は始まっている。月は見られなかったけれど、紅葉らしきモノを目にすることが出来て良かった。

# by w_bunz | 2004-09-30 21:29 | 山遊